南島漂流記
2008年4月前
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2008.4.15

 いつもは白い花弁に紛れて、あるいは体色を変えて黄色やオレンジ色の花に潜んでいることの多いオキナワアズチグモ。そうすれば、天敵に見つかり難いばかりか、自分の餌となる昆虫も気づかずに近づいてきてくれるといった一石二鳥の効果が得られます。
 しかし何故か、このときはシダの葉の上で、獲物を待ち伏せるポーズを採っていました。これでは、天敵にも獲物の昆虫にも目立ってしまって、逆効果のはずですが、どうしたのでしょうね?


オキナワアズチグモ
Ricoh R8


ヤンバルクイナ
NikonD300 VR Nikkor80-400/4.5-5.6ED Speedlight
2008.4.14

 今晩は、2羽のヤンバルクイナに出逢いました。そろそろ繁殖期に入り、夜間、樹上での姿が見られるなくなる時期なので、余り期待していなかっただけに、ちょっと嬉しい気分です。
 そのうちの1羽は、このように橋の欄干の上に登っていました。まぁ、自然の木でなくても、用は足りるということなのでしょう。地上1m程の場所ですが、登るときはジャンプしたのでしょうか?それともコンクリート製の垂直な支柱に爪をかけて歩いて登ったのでしょうか?

2008.4.13

 決して珍しい種ではありませんが、久しぶりにシロアナアキゾウムシに遭った気がします。いつものように、ヤナギイチゴの葉を後食していました。
 鳥の糞に隠蔽擬態していると言われるとおり、葉の上にじっとしていると本当に騙されそうになります。いつも、そのような状況をよく表した写真を撮りたいと思っているのですが、ほとんどの場合、このように葉の裏にいるのです。鳥の糞が葉の裏に付くことは少ないと思われるので、いまひとつ鳥の糞らしくないのですよね。


シロアナアキゾウムシ
Ricoh R8 Speedlight


ムシヒキアブの一種
Ricoh R8
2008.4.12

 今の季節、山原(やんばる=沖縄本島北部)で撮影していると、度々同じような状況に遭遇します。4月6日も紹介したムシヒキアブの一種が、ガガンボを捕食しているのです。ムシヒキアブのほうの多くは雌で、必ずガガンボの胸部に針のような口吻を差し込んで体液を吸汁しています。
 一日に何度も同じ光景を目にしていると、ときどき「あれ?また同じ場所に戻ってきたのかな?」と錯覚する程です。余程、このムシヒキアブはガガンボが好物なのでしょうか?あるいは、ガガンボの動きが緩慢なので、捕え易いだけのことなのでしょうか?

2008.4.10

 このコメツキムシは、手許の図鑑で「恐らくこれだろう」という段階まで絞れましたが、最終的に確信が持てないために、やはりより詳しい方に同定をお願いしたものです。
 その結果、私の考えは間違っていなかったので嬉しかったのですが、反対に、自分自身で確証をもてなかったのが残念でもあります。
 図鑑の絵合わせといものは、最大限の想像力を駆使しないと出来ません。雄と雌では異なる場合、同じ種でも変異の幅が広い場合などさまざまですが、その変異がすべて収録されているとは限りません。さらに、標本では生きているときと色や質感が変化してしまうも種も少なくありません。何れ、その虫を電子デバイスに近づけるだけで、種名を判定してくれるなんて時代がやってきますかね?


アリタムネアカコメツキ
Sony HVR-V1J


キイロミヤマカミキリ
Ricoh R8
2008.4.9

 こちらのカミキリムシは、自前で種名が判った例です。というよりも、種名を覚えていました。上翅の色合い、質感とも渋くて好みなのですが、どうも胸部と頭部はいけません。まるで焼け焦げた木を連想させます。いえ、それでも良い雰囲気を出していれば構わないのですが、正直言って、汚らしく感じてしまいます。
 奇麗と感じる場合でも、その逆でも長い進化の歴史の中で、特別な意味を持っているはずです。それを奇麗とか汚いとか無責任な感覚で評価しては申し訳ないと思う反面、そのような感覚というのは簡単には変わりませんからねぇ。

2008.4.7

 昨日の話に通じますが、たくさんの昆虫が出現して嬉しい限りなのですが、その中には当然のことながら、種名が判らないものも含まれます。せっかく撮影したのに、種名が判らないままでは、使用出来る状況が限られてしまいます。
 さて、このカミキリムシの種名は、残念ながら自力では判りませんでした。手許にある図鑑の絵合わせでは、該当種が見つからなかったためです。最近の図鑑は、専門化して狭いグループだけを扱ったものになりつつあります。しかし、そのような専門的な図鑑は、ごく一部の人しか購入しませんから、発行部数が少なく、勢い高額になります。その結果、機材の購入だけでも四苦八苦している身では、諦めるしかありません。
 そこで、そのような専門的な図鑑を持っている方に、メールで画像を送って、調べて貰うという方法に頼ってしまいます。そんなメールが届いた身にしてみれば、迷惑この上ないことに違いありません。
 そのようなプロセスで判明したリュウキュウクリイロシラホシカミキリですが、国内では山原の他、徳之島、奄美大島に分布して、山原では比較的個体数の少ない種のようです。


リュウキュウクリイロシラホシカミキリ
Ricoh R8


ムシヒキアブの一種
Ricoh R8 Speedlight
2008.4.6

 再び、山原(やんばる=沖縄本島北部)に戻っています。益々、昆虫たちの活動が本格化してきました。獲物が増えたためでしょうか、このムシキアブも何度も目にしています。山原で目撃するムシヒキアブとしては、最も多いのではないかと思いますが、これまではシオアヤアブの一種と扱われているようです。
 種名が確定出来ないというのはもどかしいものです。写っている画像の質が変わるわけでもないのに、種名が不明確ですと、どうも発表しにくいものがあります。まぁ、種名なんて、人間どうしの便宜的な記号でしかないのですが。
 この写真の理想的な展開は、何方かがこの画像をご覧になって、「あ、この種は、現在では◯◯◯と呼ばれ、確定していますよ!」とメールをくださることですが、ちょっと話が巧過ぎますよね・・・

2008.4.5

 菜種梅雨とでも言うのでしょうか、4月に入ってどうもスッキリしない空模様が続いています。春の昆虫の出現のピークを迎えている今、1日でも多く撮影に出掛けたいのですが。
 今日は、先月28日に撮影したオオシマオオトラフコガネの画像です。実は、私が共同管理人を務めている掲示板(BBS)に投稿した作品です。なるべく画像は重複しないようにしているのですが、掲示板に投稿した画像は何れ消去されてしまい残りません。巧く撮れた作品は、より多くの方に見て頂きたいという主旨で、掲示板に投稿することが多くなります。しかし、一方でいつまでも公開していたいという想いもあって、今回の作品は拙サイトにも再掲載しました。
 この2点の画像の気に入ってるポイントは、春の林道脇のシダの葉の上にいるオオシマオオトラフコガネの雰囲気がとてもよく出ているところなのです。それは、虫の眼レンズで撮影している要素が大きいのですが、こうしてみると体長10mm余りのコガネムシが、とても巨大に見えていしまいますね。かと言って、環境が広く写っていても、主人公のコガネムシが小さくしか写っていなければ、魅力半減ですから、まぁこれでよいのでしょう。何れにしても、この映像を見ていると、一刻も早くフィールドに飛び出したい衝動に駆られます。
※このときに同時に撮影した、珍しい黒色型のオオシマオオトラフコガネを「かがくナビ」で紹介しています。



オオシマオオトラフコガネ(褐色型雄)
NikonD300 Gyorome845 Speedlight


ダニの一種
Ricoh R8
2008.4.3

 春の昆虫たちを撮影していると、目の前のシダの葉の上に、何か赤い粒子が2つ見えます。老眼気味の眼で何とか焦点を合わせて見ると、それはハエに付くダニの仲間のようです。
 撮影してモニタで拡大してみると、確かにダニです。それにしても、ハエの体に対してこの大きさですから、人間ならば、子犬か子猫が2匹しがみついているようなものでしょうか?いや、さらに体液を吸われるのですから、子犬か子猫程の大きさの蚊が2匹とまっているようなものでしょうか?

2008.4.2

 このキベリヒゲナガサシガメも、赤い鮮やかな体色をし、細長い体型をしていますから、この時期に見かけると、一見オオシマカクムネベニボタルに擬態しているかのようです。
 しかし、肉食性のサシガメは、捕食した昆虫の体液を吸うための針のような口吻を武器にして、危険を感じると相手を刺します。人間が刺されても、その痛さはかなりのものです。ですから、改めて他の有毒種に擬態する必要もないでしょう。さらに、ほぼ一年中成虫の姿が見られますし、山原(やんばる=沖縄本島北部)以外にも生息していますから、単なる偶然でしかないようです。


キベリヒゲナガサシガメ
NikonD300 Gyorome845 Speedlight


オキナワアカミナミボタル
NikonD300 Gyorome845 Speedlight
2008.4.1

 山原(やんばる=沖縄本島北部)の春を代表する昆虫のひとつが、オオシマカクムネベニボタル。とても目立つ色彩の上翅をしていますが、それは有毒なことを天敵にアピールするものだと言われています。
 そして、そのベニボタルに擬態したよく似た姿の甲虫も同時に姿を現します。このオキナワアカミナミボタルもその一種と言えるかもしれません。しかし一方で、ホタルの仲間はほとんどがそれ自体、有毒か不味いかで、天敵には嫌われているという説もあります。

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