南島漂流記
2006年7月前
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アダンの実と海岸
Ricoh Caplio500Gwide Wide-conversion Lens
2006.7.15

 やっと台風の影響も収まり、久しぶりの快晴となりました。今回これまで一度も見えなかった奄美大島の島影も、今日はハッキリと見えています。風も弱まり、あともう少し波が穏やかになれば、オカヤドカリの放卵行動の条件は整います。日程的にも今晩がタイムリミットなので、何とか撮影を終えたいのです。
 ちょっと観光写真のようですが、このアダンの実はオカヤドカリの大好物なのです。熟してパラパラと落ちた実に、オカヤドカリが集まってきて食べるのです。今晩もそのような光景が見られ、その後、放卵行動に移ってくれればよいのですが。

2006.7.14

 今日になって台風4号の影響も収まってきましたが、昨夜は高波の危険もあって、海岸でのオカヤドカリ探しは中止しました。
 今回は、オカヤドカリの撮影ということもあり、山や森の話をしていませんが、徳之島には山原(やんばる=沖縄本島北部)とよく似た森が発達しています。実は、地誌の関係から、山原と奄美大島と徳之島は、共通した生物がたくさん生息しているのです。
 その中で、山原や奄美大島は大規模な開発により本来の森の姿が失われている所も少なくないのですが、徳之島の森は林道も少なく、比較的良好な状態に映ります。山原の森ではかなり奥地に入らないと見られないような巨木が、林道沿いで見られたりもするのです。


巨 木
NikonD200 Tamron11-18/4.5-5.6 PL-Filter


ナンバンサイカチ
Ricoh Caplio R4
2006.7.13

 いよいよ台風4号の影響が強まってきたようです。今日は、昼間からときどき強い雨が落ちてきます。当初の日程では、徳之島は3泊だけで、その後は奄美大島で撮影をしようと考えていたのですが、徳之島に専念するように変更しました。
 徳之島で今の時期、目に付くのが見事な花を着けたナンバンサイカチ(ゴールデンシャワー)の木です。沖縄本島でも、ここまで見事に花を着ける株に出逢うのは稀です。もしかすると、徳之島の気候がこの植物に向いているのかもしれませんね。

2006.7.12

 台風3号が遠離りつつあると思ったら、次は4号の影響が出始めたようです。あまり勢力は強くなく、遠くにあるのでまさかとは思ったのですが。
 荒波を受ける徳之島の海岸線で、やはり面白い情景を醸しているのが、この犬の門蓋(いんのじょうふた)です。別名めがね岩とも呼ばれる景勝地は、自然の造形とは思えないものです。ただ説明を読むと、飢饉を迎えたときに集団で危害を与える犬を捕らえて、ここから海に投げ捨てたとあります。この逸話を知ると、急にこの景色も何処か暗い影を感じるような気がします。
 波が収まるどころか、さらに強まってきたようで、夜浜辺を歩いても、そこで見掛けるオカヤドカリも数が減ってきました。困りました・・・


徳之島・犬の門蓋
Ricoh Caplio500Gwide Wide-conversion Lens


徳之島・ムシロ瀬
Ricoh Caplio R4
2006.7.11

 心配したとおり、昨夜は海岸線でたくさんのオカヤドカリを見ることは出来ましたが、産卵行動には至りませんでした。やはりまだ波が高いのが原因でしょうか。
 徳之島の海岸線は、とても特徴があります。このムシロ瀬もそうですが、どうやってこのような不思議な風景になったのかと思う場所がいくつもあります。海にこの白い岩がそびえ立っていると、ちょっと氷山のようにも見えます。亜熱帯のエメラルド色の海に浮かぶ氷山、この何ともミスマッチな風景が不思議な雰囲気に感じるのでしょう。
 徳之島の海岸線を回ってみると、砂浜が少ないように思います。これは、やはりオカヤドカリの集団放卵で知られている喜界島でも同じことでした。数少ない砂浜に集中して生息しているから、集団の規模が大きくなるのかもしれません。

2006.7.10

 一日遅れで、やっと徳之島に入りました。今回の取材目的は、オカヤドカリの集団産卵。正確には産卵ではなく、放卵なのですが。
 ヤドカリとオカヤドカリは姿はそっくりですが、全く逆の生活をしています。ヤドカリは通常水中にいて、長時間空中に放置すると死んでしまいます。反対に、オカヤドカリは通常陸上生活をしていて、長時間水中に入れると死んでしまいます。ところが、繁殖のときだけ海に降りてきて、海水中に卵を放つのです。
 そして、6〜7月の大潮の晩前後に集団で放卵することが多いのです。その放卵集団の規模が日本一大きなのが、この徳之島だと言われているのです。しかし、小さな体のオカヤドカリが、波打ち際で海中に放卵するのは命掛けの行動です。台風3号の余波で波の高い状態の続いている状況では、それが何時見られるのかやや不安です。


オカヤドカリ
Ricoh Caplio R4


坂本龍馬・お龍の旅碑
Ricoh Caplio R4
2006.7.10

 徳之島に発つ前に、ホテル近くにある坂本龍馬の旅碑に立ち寄りました。鹿児島に坂本龍馬の銅像とは不思議な気もしますが、新婚旅行で霧島温泉に湯治に来たのだそうです。さらに、これが日本で初めての新婚旅行だったとも。
 寺田屋騒動と翌年の暗殺の合間のほんの束の間のひと時となった湯治旅の様子に、ちょっと二日酔い気味の頭で、想いを巡らせてみました。

2006.7.9

 今日から、奄美大島経由で徳之島取材の予定だったのですが、生憎の台風3号の影響で予約していた便が、直前になって欠航になりました。翌日の便に変更しようとしたところ、運悪く満席のために、急遽鹿児島空港に向かい、空港ホテルで一泊の後、徳之島入りすることにしました。
 夕方、ホテルと契約している温泉に出かけました。今朝起きたときには、まさか今日鹿児島の温泉に浸かっていることなど想像もしませんでした。ただ、濁った温泉の半水面写真は何も見えずに面白くありませんね。


鹿児島霧島温泉
Ricoh Caplio500Gwide Wide-conversion Lens


オオシオカラトンボ雌
Ricoh Caplio500Gwide Wide-ConversionLens
2006.7.8

 今年初めての台風が接近していて、朝から強風が吹き荒れています。もっとも暴風雨圏に入る可能性は夜半以降なので、まだときどき陽が顔を出すこともあります。
 こんな強風では、昆虫たちも何処かに隠れてしまって、撮影は難しいだろうと思っていました。ところが、事務所の入っている建物の裏に回ってみると、ちょうど風下に当たるのでしょうか、結構な種類の昆虫の姿が見られるのです。きっと風を避けて、ここに集まったのでしょう。このオオシオカラトンボの雌も、そのような昆虫のひとつでした。これからさらに接近する台風を、巧く乗り切れればよいのですが。

2006.7.6

 快晴です。
 昨日はやや雲の多い空だったので、接近しつつある非常に強い台風3号の影響かと思っていたのですが、今日の雲ひとつない空を見るとそうではないようですね。
 どちらを見回しても、雲の見えない澄み渡った青空を見ていると、先週のヘリ空撮のことを思い出しました。今日もし撮影していたら、どのような映像が撮れたでしょうか?そう思って、遠くの景色を見てみると、やや霞んでいて、それ程クリアな大気ではないようです。雲は多かったものの、大気の状態は昨日のほうがよかったようです。なかなか難しいものです。


快晴
Ricoh CaplioR4


リュウキュウアブラゼミ
Ricoh Caplio500Gwide Wide-conversionLens
2006.7.4

 クマゼミも姿を現し始め、リュウキュウアブラゼミの数もかなり増えてきました。いよいよ夏本番といった雰囲気です。
 先月の22日に今年初めてリュウキュウアブラゼミを撮影したときは、まだ数も少なく警戒心が強いようで、あまりアップで写せませんでした。ところが、不思議なもので数が増えてくると、警戒心が薄れるようです。今日は22mm相当の超広角レンズでここまで接近して写せました。
 接近して細部まで描写された画像を見ていると、このリュウキュウアブラゼミ、翅や胴体にかなり蜘蛛の糸が絡んでいますし、翅の縁も破れています。羽化してからこれまで、結構危険な目にも遭ってきたようです。人間からすれば、その昆虫の出始めとか、そろそろ終わりの時期とか表現しますが、それぞれの虫にとってはそんなことは関係なく、いつでも危険と隣り合わせの時間を過ごしているのには変わりがないのですね。

2006.7.3

 先月22日に、今年初めてのリュウキュウアブラゼミの撮影をしました。しかし、そのときはまだクマゼミの姿も鳴き声も確認出来ませんでした。それがここ数日で、少しずつ鳴き声が聞こえてくるようになりました。
 今日になって、その姿をカメラに収めようと、ホルトノキを探してみました。まだ数は少ないですが、何匹かの姿を確認し、比較的低い幹にとまっているクマゼミを撮影出来ました。200mm相当の望遠レンズを内蔵したコンパクトデジカメを使用したのですが、高倍率ズームにもかかわらず、背景の木漏れ陽の素直なボケの描写に驚きました。


クマゼミ
Ricoh CaplioR4 Speedlight


羽地内海に掛かる虹
Ricoh CaplioR4
2006.7.1

 先月28日続いて、クロイワゼミを探しに沖縄本島北部にある本部(もとぶ)半島へ足を伸ばしました。しかし、現地に着いてみると、生憎の曇り空。前回のように撮影中にスコールに遭うのも嫌なので、見晴らしのよい場所で空模様を見てみることにしました。
 すると、そこからは海より立ち上る虹が見えました。海面に掛かる虹を見たのは久しぶりのように思います。今日は、幸い撮影中に雨に降られることもありませんでした。撮影が終了し、車に戻った途端に降り出したので、助かりました。どうやら、幸運の虹だったようです。

2006.7.1

 他の昆虫を捕食するムシヒキアブの仲間の中で日本最大種のメスアカオオムシヒキ。体長は雌で最大40数mmにもなり、小型のセミを捕食しているのを何度か目撃したことがあります。
 また、コガタスズメバチに捕食されているのも、反対に捕食しているのも見たことがあります。つまり、コガタスズメバチとは一勝一敗で、互いに食う食われる関係のようです。
 ところで、和名の由来にもなっているように、雌は赤いというかオレンジ色の体色をしていて、黒い雄とは対照的です。これまで、雄と雌それぞれ別々に見たり、撮影したりしたことはありますが、このように同時に見ると、雌と雄の体色がこれ程異なることに、ちょっと不思議な気がします。


メスアカオオムシヒキ
Ricoh Caplio500Gwide Wide-Conversion Lens

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