南島漂流記
2005年10月後
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2005.10.31

 昨日から今日にかけての天気予報はよく当たります。肝心のときにいつも外れる印象の強い天気予報ですが、朝方の雨を見て、昼からの晴れ間も怪しいなぁ?と思っていたら、昼前から急に晴れ間が広がりました。
 するとそれまであまり目立たなかったサキシマフヨウのピンク色の花が、急に目に付くようになりました。青空にとても映える存在ですね。しかし、この写真を撮りながら、山原(やんばる=沖縄本島)にも、すっかり本格的な秋がやって来ていることに気付きました。


サキシマフヨウ
Ricoh GR Digital



ナミエガエル
Ricoh GR Digital Speedlight
2005.10.30

 今日は夕方からTV番組の収録のため、久しぶりの山原(やんばる=沖縄本島北部)です。しかし、こういときに限って天気予報が当たり、雨が降り続いています。こんな夜は、やはりなかなかよい被写体に出遭えません。実は、最大の目的のヤンバルクイナには、出遭えたのですが、さすがにコンパクトデジカメでは、遠くの小さなヤンバルクイナは撮れません。
 ヤンバルクイナ以外で出遭った動物と言えば、このナミエガエル。山原の固有種です。何処か、フォルクスワーゲンのニュービートル(ニッサンマーチか?)にマスクが似ているような気がして、結構好きなキャラクターなのです。とはいえ、アスファルトの上で、降り止まない雨の中、2枚だけシャッターを切って、宿に戻りました。しかし、パソコンに取り込んでモニターで再生してみて驚きました。ピントの合った眼のディテールまでが、しっかり解像されているのです。雨に濡れるのを気にしながらいい加減にシャッターを押したところがあるのですが、驚きました。下の写真は、眼の部分だけのピクセル等倍画像です。(今日の画像もレタッチなしのリサズのみです)

2005.10.29

 GR Digitalは、画質もさることながら、操作感も優れていて、何処か楽しい気分になれます。操作感というのは、撮影される映像に直接影響を与える要素ではありませんが、気持ちのよい操作感というのは、撮影のリズムに乗れるので、結果としてよい撮影結果が着いてくるものです。
 中でも、シャッターを押したときの感触がいいですね。その直後に液晶モニターに一瞬浮かび上がる撮影された映像が、とても雰囲気があるのです。「お、いい絵が撮れた!」という気分にさせられて、次々とシャッターを切ってしまうようなところがあります。ただ、大型で詳細な液晶モニターなのですが、亜熱帯沖縄の陽射しの下で使うには、やや暗いかな?というのが唯一残念なポイントです。


イシガケチョウ
Ricoh GR Digital Speedlight


キスジホソヘリカメムシ
Ricoh GR Digital Speedlight
2005.10.28

 GR Digitalで実際に撮影してみての第一印象は、やはりその画質のクオリティの高さです。とてもクリアでコントラストが高く感じられ、これがよく言われる「ヌケのよい」画像なのだと思います。これまで使用してきたGX8の画質にもかなり満足していたのですが、このGR Digitalの画像は、その上を行くクオリティであるのが明らかに感じられます。
 また、内蔵ストロボはボディの隅にあり、しかもポップアップ式なので、レンズより最大限離れた位置にあります。そのため、GX8のように28mmで接写してもレンズの影になってケラレてしまうこともかなり軽減され実用的になりました。また、GX8ではスローシンクロすると、何故かブレてアンシャープになることが多かったのですが、このGR Digitalでは、かなりシャープに写るように感じます。

2005.10.28

 昨日届いたRicoh GR Digitalの使い始めです。これまで、28〜85mmズームレンズ搭載のGX8をメインに毎日のように使用してきましたが、GR Digitalは、28mm相当の単焦点レンズを搭載しています。28mmで、それぞれレンズ先端から1cm、1.5cmの接写が可能です。CCDサイズも画素数は、ほぼ同じ。
 大きな違いは、ズームレンズか単焦点レンズかの違いのようですが、開発コンセプトはかなり異なります。GX8は、これまでのリコーのコンパクトデジカメの進化の現在のトップに位置するような存在です。一方、GR Digitalもリコー社製コンパクトデジカメの頂点に立つ機種なのですが、GX8のように下から積み上げたきたトップというよりも、最初からトップに位置すべく開発された英才児なのです。
 往年の銀塩コンパクトカメラのGR-1シリーズのデジタル版開発の発表がされたのが、昨年のドイツのフォトキナ。そして、ここに現実のものとなったGR Digitalは、薄くコンパクトだった本家のGR-1よりもさらに一回り小さくなっての登場です。一方で、専用ワイコン、外付けファインダーなどは大振りでフル装備ですと、GX8のセットよりもかなりボリュームが感じられます。さて、実際の操作感覚や画質はどのようなものでしょうか?



Ricoh GR Digital(手前)とRicoh Caplio GX8
Ricoh Caplio GX8


キシモフリクチブトカメムシ
Ricoh Caplio GX8
2005.10.27

 今、デジタルカメラの世界で話題を呼んでいるRicoh GR Digital。昨年ドイツで開催されたフォトキナで、往年の銀塩コンパクトカメラの銘機Ricoh GR-1のデジタル版の開発発表があってから、ついにそれが実現したものです。昨日、発送の通知があり、今日はその到着を心待ちにしているのですが、夕方からはTVの出演があるので、それまで間に合うか否か落ち着かないのです。
 到着までの時間を使って、これまでの愛用機GX8を持って事務所の裏庭に出てみました。すると、シャクガと思われる幼虫から吸汁しているキシモフリクチブトカメムシを見つけました。クチブトカメムシのなかまも、サシガメ同様に他の昆虫を捕らえて、体液を吸汁する性質を持っています。
 ストロボなしの広角接写で、かなりコントラストの強い光線状態ですが、結構よい映像が得られました。さて、このシーンをGR Digitalで撮影するとどのような写りになるのでしょう?

2005.10.26

 沖縄本島に戻ってきました。実は、本日解禁でアップしようと準備していた写真がいくつかあったのですが、直前になって、解禁日が延期になってしまったのです。改めてその日が来ましたら、説明したいと思います。それと比較用に撮影した写真を載せておきます。
 手前にいる小さな昆虫も大きく拡大し、背景の環境にもある程度ピントを合わせた映像は、ある意味人間の眼の感覚に近く、あるいは昆虫の世界に入り込んでしまったような錯覚も楽しめるという、なかなか魅惑的な世界です。その映像を得るための技法のいくつかは、ここでも紹介してきましたが、最も簡単な方法がコンパクトデジカメにワイドコンバーターを装着して撮影するものです。
 銀塩時代のコンパクト機では接写も出来ませんでしたし、コンパクトデジカメの画質が劣っていた頃には仕事用としての実用性もありませんでしたが、最近のコンパクトデジカメの画質向上により、充分仕事にも使えるものとなってきたのです。さらに、より小さな被写体を拡大出来て、より被写界深度が深いとよいのですが。


ムラマツカノコ
Ricoh Caplio GX8 Wide-conversion Lens


ツマキカノコ
NikonD2X Tamron90/2.8 Speedlight
2005.10.23

 昨日に続いて、与那国島のカノコガです。ムラマツカノコに混ざって見られるツマキカノコは、数の上では少ないのですが、存在は以前から知られていたようです。どちらも、日中に活動して花で吸蜜する姿は、ハチに擬態して見えます。しかし、ツマキカノコは翅(はね)に透明な部分はなく、胴体と同じように黄色と黒の島模様が採用され、どこかルリモンホソバなどに似ているようにも思います。ですが、常に広げた状態の翅、先端が白く長い触角は、やはりハチそのもののように思います。
 ムラマツマカノコのように未記録種ではありませんが、その国内分布は、今のところ、与那国島とトカラ列島の中之島だけという、これまた不思議なパターンなのです。

2005.10.22

 相変わらずの強風に加えて雨模様の中、与那国島の最高峰、宇良部岳に登ってみました。すると、道沿いのあちらこちらにこれまで見たことのない蛾がいます。本土でよく紹介されているカノコガによく似ています。
 早速撮影し、麓ののアヤミハビル館(ヨナグニサンの博物館)の職員の村松稔さんに訊いたところ「ムラマツカノコ」だと教えてくださいました。昨年から急に与那国島で目撃されるようになったのだそうです。東南アジアからインドに分布する種で、近年台湾でも採集されたそうです。国内での発見者の村松さんの名が和名に冠されたというわけです。発見者に種名を教えて貰うとは、貴重な経験でした。


ムラマツカノコ
NikonD2X Tamron90/2.8 Speedlight


ヨナグニモリバッタ
NikonD2X Tamron90/2.8 X1.4Telecon Speedlight
2005.10.21

 西表島から2泊の予定で与那国島にやって来ました。いくつか目的がありますが、そのひとつがこのヨナグニモリバッタの撮影。モリバッタは、奄美大島から与那国島まで分布していますが、島毎に色彩などが異なり、それぞれ亜種に分けられています。
 このような例は、かなり多くの昆虫で知られていますが、その違いは微妙なもので、モリバッタのように顕著なものはあまりありません。そして、モリバッタの場合、北(あるいは東)から南(同じく西)の地域に行くに従って、色が薄くなる傾向が認められます。この全亜種の比較は、スチル写真ではすべて撮影しているのですが、ビデオではまだ完璧とは言えず、今回八重山の3島の亜種を改めて撮影しようと思ったのです。しかし、生憎の強風で、なかなか葉の表面に出てこないのに困りました。それでもなんとか見つけることのできたモデルが、このモリバッタです。

2005.10.20

 今日は、ときどき陽が射すかと思うと、急に雨が落ちたりと、不安定な天気でした。そんな空模様の下、林道を歩いていると、前蛹になる準備をしているジャコウアゲハを見つけました。まだ、周囲の刺激に対して反応しますから、この場所に移動してきたばかりのようです。
 何枚かシャッターを切って、近くを見ると、リュウキュウウマノスズクサを食べるもう1頭の終齢幼虫がいました。どうも、同時期に産み付けられた卵から成長した兄弟のようです。近くを探しましたが、他には幼虫も蛹も見つかりませんでした。あるいは産卵されたときは、もっと多くの兄弟がいたのかもしれませんね。


ジャコウアゲ前蛹
Ricoh Caplio GX8


ヤマヒヨドリバナで吸蜜するキチョウと?
Ricoh Caplio GX8
2005.10.19

 林道脇には、ヤマヒヨドリバナの白い花の塊が目立ちます。その花には、夏枯れを過ぎ、秋の出現のピークを迎えたチョウたちが集まってきています。中でも特に多いのが、キチョウでしょうか。
 そしてもう1種、小さいながら目立つのが、真っ赤な蛾のなかまです。実は、この蛾は以前から存在を知ってはいたのですが、なかなかちゃんと撮影出来なかったのです。一度は、高い木の葉裏にいるのを見つけ、木に登ってまで撮影したのですが、距離があり前翅長5mm程の大きさではロクな画像ではありません。次は、見つけたのにすぐ逃げられ、前回は川面に浮かぶ瀕死の状態でした。
 それが、今日はヤマヒヨドリバナの花に、キチョウ程ではありませんが、あちこちに姿が見られるのです。しかも、熱心に吸蜜をしていて、近寄ってもほとんど逃げる気配も見せません。4度目の正直でやっとまともな撮影をすることが出来ました。しかし、肝心の種名は、手元の図鑑では判りません。沖縄本島に戻ってから調べたいと思います。ヒトリガ?メイガ?ヤガ?
※いつも参加している画像掲示板にも投稿したところ、マエベニコケガ(ヒトリガ科)との情報を提供していただきました。

2005.10.18

 昨日に続いてチャイロマルバネクワガタです。実は、滅多にやらないことなのですが、昨日見つけたチャイロマルバネクワガタは、ちゃんと撮影されていることが確かめられるまで、一時捕獲していたのです。そして、今日捕獲したのと同じ場所に放しにいったところ、枯枝の上を歩くもう1匹の雄を見つけました。
 そこで急に思いついて、放す予定の雄を同じ枝の上に乗せてみたところ、しばらくして闘いを始めました。以前、沖縄本島産のオキナワマルバネクワガタで闘争させようとしても、なかなか闘わなかったことがあったので、マルバネクワガタのなかまは、あまり闘争本能がないものだと思っていたのです。そのために、あまり闘争の武器である大あごが発達していないのだと・・・。ところが、今日の雄間闘争を見て、決してそうではないのだと知ることが出来ました。


チャイロマルバネクワガタ雄間闘争
NikonD2X Tamron90/2.8 Speedlight


チャイロマルバネクワガタ雄
Ricoh Caplio GX8 Wide-conversion Lens
2005.10.17

 講演と自然観察会も終わり、石垣島から西表島に移動しました。この時期の八重山諸島での撮影の楽しみにマルバネクワガタがあります。
 沖縄本島に生息するオキナワマルバネクワガタに近縁のヤエヤママルバネクワガタ、ヨナグニマルバネクワガタ、そして、チャイロマルバネクワガタです。このチャイロマルバネクワガタは、体長25mm前後と小型ですが、昼間盛んに活動するちょっと変わった習性があります。
 先日、テスト撮影を行った虫の眼レンズを初めいくつかのレンズで撮影したのですが、結局最も生息環境のよく判るのは、愛用のコンパクトデジカメにワイコンの組合わせによるものでした。

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