南島漂流記
2005年2月後
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2005.2.27

 那覇市内の居酒屋で、意外な食材を目にしました。シレナシジミという、西表島などのマングローブ林の根元の泥の中に潜っている貝です。小さな貝の代名詞のようなシジミのイメージですが、ハマグリよりも立派な巨大シジミです。写真のレモンと比べてみれば、その大きさが想像出来ると思います。
 もちろん、シレナシジミが食べられることは知っていました。以前、西表島の宿泊先で、お吸い物にして貰って食べたことがあります。その印象は、泥臭くて、殻の割には身は小さく固いという印象で、まさかこれが有料の食材になるとは思ってもみませんでした。
 しかし、先日の西表滞在中に、久しぶりに食べる機会に恵まれました。私が採集してきたものをお世話になっている宿で焼いてもらったのですが、それまでのイメージが一変しました。軽めに焼いたものでしたが、決して固くなく身は充分な大きさを保っていました。過熱し過ぎると、身が縮んで固くなってしまうそうです。また、海水を使って数日掛けて砂出しをさせたため、泥臭さはほとんど消えていました。すっかり、シレナシジミを見直してしまいました。
 那覇市の居酒屋で見たシレナシジミは、かなり小ぶりなものでした。写真の上のサイズばかりで、下の二つの特大クラスの半分以下です。西表島でも、採集し易い場所では、数も減りサイズも小さくなっているようです。今回は、あまり人の入らない林道の先にあるマングローブ林へ干潮時に降りてみると、泥に腕を突っ込んで探さなくても、特大サイズがあちこちに顔を出しているのでした。
 万が一沖縄本島や本土で人気が出て、さらに採集されるようになると、より小さく少なくなってしまう可能性があるでしょう。やはり、シレナシジミは、マングローブ林の泥の中でひっそりと暮らし、その場に足を運んだ者だけに味わえる存在でいて欲しいと思うのですが・・・


シレナシジミ
Ricoh Caplio GX


ハスオビコブゾウムシ
Ricoh Caplio GX
2005.2.23

 ハスオビコブゾウムシをイネ科植物の葉の上で見つけました。このゾウムシは、普通ハイビスカスやフヨウなどアオイ科の木にいて、枝の皮を食べていることが多いのです。その場合、樹皮に姿が似ているので、それほど目立ちません。そのような環境において、カムフラージュの効果がある存在なのだと思い込んでいました。
 ですから、今日このような環境で見つけたときは、ちょっと意外でした。緑の葉の上では、補色に近い体色をしていますから、目立ってしまうのではないかと。確かに樹皮の上にいるときのような隠蔽効果は発揮していません。ところが、このような状況では、鳥の糞に見える効果があるのではないかと感じました。白と暗褐色の縞模様でコロンとしてますから、そのように見える可能性は大です。
 これまでハスオビコブゾウムシは、枝にいるものという先入観がありました。ところが、このような環境でも、ゾウムシとして目立つことのないのには驚かされました。

2005.2.20

 今年の冬は、雨が多いばかりでなく、寒い日が多いのも困りものです。1月の後半は、汗ばむ程の陽気の日もあったのに、すっかり季節が逆戻りしたかのようです。
 今朝の気温も、10.5℃。撮影のために近付いたので、息が掛ってしまった影響か、写真では11℃になってしまってますが・・・。この写真を撮影したのが午前10時頃ですから、早朝には10℃を下回っていた可能性が充分考えられます。
 沖縄で最低気温が10℃を下回ることは、一冬で数える程ですから、今朝はかなり寒く感じました。それにしても、間もなく3月だと言うのに、いつまでこの寒さと雨が続くのでしょう。


今朝の気温
Ricoh Caplio GX


子午線モニュメント
Ricoh Caplio GX
2005.2.19

 西表島の西部の山の中に、夜空に延びる青いビームが見えます。突然、視界に入ってくると、ちょっと無気味です。
 この正体は、祖納(そない)集落にある子午線モニュメントです。ここには、東経123度45分67秒89の子午線が走っているのです。その子午線に合わせて、青いレーザービームが照射されているというわけです。
 なかなか面白い発想のモニュメントですが、野生動物たちはどう感じているのでしょうか。夜、餌を求めて歩き回るヤマネコが、これを見上げて首を傾げているかもしれませんねぇ。
 (肉眼では、ブルーに見えるビームですが、オートホワイトバランスで撮影したところ、グリーンに写ってしまいました。)

2005.2.19

 特別天然記念物のカンムリワシですが、普段見せる生活からのイメージとは、ちょっとギャップがあります。沖縄に定住している特別天然記念物というと、他にイリオモテヤマネコ、ノグチゲラがいますが、どちらもそう簡単に姿の見られる種ではありません。それに、どちらも固有(亜)種です。
 しかし、カンムリワシはかなり頻繁に姿を見掛けます。しかも、そのほとんどが、電柱や電線の上にとまっている姿です。その姿を見ていると、もっと特別天然記念物の自覚を持って欲しいものだと思います。もっとも、これは人間の側の勝手な願望です。カンムリワシに断ることもなく、人間のほうが特別天然記念物に指定しただけのことですから。そして、彼ら本来の生息環境を破壊して人工物を造っているのに、その人工物を利用して生活している姿を揶揄されるのも、迷惑な話に違いありません。
 これまた勝手な人間の感想ですが、和名のカンムリワシの由来は、冠に例えられる冠羽にあります。ところが、この冠羽を冠のように立てるのは、そう多くありません。この写真は、脚で頭を掻きながら、その冠羽を立てた瞬間です。

 


カンムリワシ
NikonD100 VR Nikkor80-400/4.5-5.6ED


ベンケイガニ?の鋏
Ricoh Caplio GX Wide-converter
2005.2.18

 ヤマネコ探しでほぼ毎日往復していた林道脇の苔むした岩の上で、カニの鋏を見つけました。恐らく、環境と色彩からベンケイガニのものと思われます。
 この状況からして、野生動物がカニを捕まえ、ここで食べた痕なのでしょう。その食べた野生動物は、何でしょうか?
 西表島で、カニを捕食する動物というと、カンムリワシ、リュウキュウイノシシ、イリオモテヤマネコが考えられます。しかし、この中で、リュウキュウイノシシがカニをくわえて、岩の上に上がって食べるとは考え難いので、まず却下でしょう。このような場所で餌を食べる可能性が最も高いのは、カンムリワシかもしれません。
 しかし、イリオモテヤマネコも縄張り宣言のマーキングをするために、岩の上に上がることがしばしばあります。さらに、ベンケイガニは昼間でも巣穴の出入り口付近で姿を見掛けますが、最も盛んに活動するのは、夜間です。となると、活発な活動時間帯が一致するのは、ヤマネコということになります。さて、真犯人は誰なのでしょう?

2005.2.17

 今年の冬は、すっかりイリオモテヤマネコの撮影に時間を割いています。が、、、なかなか成果がありません・・・その結果、ヤマネコ貧乏状態に陥っています。
 いろいろな環境で撮影を試みていますが、この環境が最も絵になる場所です。適度な密度の森の中に小さな流れがあります。その畔にある小さな広場の隅に撮影用の迷彩テントを張っています。この流れを渡ってヤマネコが現れ、広場で毛繕いをする、あるいは斜に伸びた木の幹に登るという状況を頭に描いて、ひたすら待ち続けるのです。
 しかし、現実はそう巧くいきません。いつもこの撮影用テントを見つけて、盛んにちょっかいを出すのは、いつもハシブトガラスです。いつの間にか、この斜めの幹にとまって鳴くのが日課になってしまいました。あるいは、渓流の中でルリビタキが水浴びをしてみたり。夜になると、「ボォッ、ボォッ、ボォッ・・・」と重低音のズグロミゾゴイの鳴き声が聞こえてきたり、ヤエヤマボタルが乱舞したりと、決して退屈することはありません。しかし、肝心のヤマネコが現れてくれいないことには、どうしようもありません。


ヤマネコ撮影フィールド
Ricoh Caplio GX


雨、雨、雨・・・
NikonD100 VR Nikkor80-400/4.5-5.6ED
2005.2.16

 それにしても、今年の冬は雨ばかりですね。特に2月に入ってからの連日の雨には、全くうんざりです・・・
 今日も朝から雨、、、お昼前には、すっかり本降りになってしまいました。フィールドに出られないというのは、何とももどかしいですねぇ。
 しかし、これだけこの季節に雨ばかり続くと、今年は空梅雨にならないかと、今から心配になります。これは、人間生活の上だけの心配ではありません。沖縄のフィールドでは、渓流環境が重要なポイントを占めています。その渓流の撮影で、亜熱帯らしい陽射しと水量が豊富な季節というと6月下旬から7月上旬なのですが、このとき水量が少ないと、まるで8月頃の夏枯れの風景になってしまうかもしれないのです。

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