南島漂流記
2004年11月後
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2004.11.30

 今回の沖縄の危険生物の撮影の中で、印象深かったのが、このヤシガニです。オカヤドカリの仲間なのですが、体が大き過ぎて借りる宿=貝殻がなく、裸のままでいるのです。
 そのヤシガニの中でもかなり巨大なものを、今回の撮影に使いました。何処が危険かと言うと、大きな鋏脚に挟まれると、かなりの力でなかなか離さないのです。以前、あるテレビ番組の収録で、人間用の握力計でその力を測ったところ、40kg以上もありました。成人男子なみの力です。しかも、それは柔らかな掌ではなく、固い甲羅に覆われた鋏で、内側に歯のような突起までありますから、かなりの痛みであることは想像に難くありません。もし、この鋏に挟まれてしまったときの対処法が、腹をくすぐることという信じられないものなのです。そのテレビ番組の収録でも、あるスタッフが挟まれてしまい、この方法が役立ったようです。今回も、木の枝をなかなか離さないときに、この方法を試してみると意外と有効に感じられました。
 ヤシガニには、もうひとつの危険性があります。食べると、ときどき中毒を起こすことがあるのです。以前、一度被害にあったことがあるので、今回も是非、このことも紹介してもらいたいものです。


木に登るヤシガニ
Ricoh Caplio GX Wide-Converter Speedlight


ミツバチの巣箱
Ricoh Caplio GX
2004.11.30

 今回の危険生物の撮影では、ミツバチも取り上げます。1匹の毒性は強くないものの、繰り返し刺されていると、人によって抗体が出来て、アナフィラキシーショックというアレルギー反応を起こすためです。
 そのミツバチが民家の植え込みの花などで吸蜜している状況を撮影したかったのですが、どうもそのような光景に行き当たりません。真冬でもカンヒザクラなどで盛んに吸蜜するのに、不思議なことです。ふと、前夜林道脇の広場に、ミツバチの巣箱が置いてあったのを思い出し、その場に行ってみました。巣箱からはたくさんのミツバチが出入りしています。これならば、近くの花を探せば間違いないと思ったのですが、残念ながらそうはいきませんでした。全く、近くの花には姿が見られないのです。ミツバチは、近場で無精したりせず、意外に遠くまで蜜や花粉を求めて移動しているのですね。

2004.11.29

 本土ではお馴染みのジョロウグモも、沖縄では余りポピュラーな存在ではありません。今頃の季節になると、沖縄本島では北部の山や森で少数が見られるだけです。東京にいた頃は、秋になると、たくさんのジョロウグモが一箇所に網を張っていた光景を思い出しますが、そのような状況はまだ見たことがありません。
 沖縄でポピュラーなのはオオジョロウグモです。雌成体の体長が最大で50mm前後になりますが、これは長い脚を含めない値ですから、実際の大きさはこの2、3倍にもなります。網の直径は2mにもなり、ときにはメジロなどの小鳥や幼蛇などが餌食になるそうです。
 しかし、このオオジョロウグモは、もう既にシーズンオフに入ろうとしています。そのためか、今の季節、北部の山の中では、比較的このジョロウグモの姿が目に付きます。そのもうひとつの理由は、成熟した雌の腹部に鮮やかな大きな赤色の斑紋が付いているからでもありそうです。


ジョロウグモの成熟雌
Ricoh Caplio GX Speedlight


ヒカゲヘゴの幹
Ricoh Caplio GX
2004.11.28

 引き続き危険生物のビデオ撮影で、今日からの3日間は山原(やんばる=沖縄本島北部)に滞在予定です。
 今年は台風が多く、この木生シダのヒカゲヘゴも葉があまり展開せずに、勇姿が見られませんでしたが、この季節になって、かなり見映えがするようになってきました。
 亜熱帯・山原の森ですが、見た目にはそれ程、温帯の森と大きな違いは感じられません。ですが、この椰子の木を思わせる最大で10m近くに生長するシダは、亜熱帯らしさを充分に演出してくれています。
 傘のように大きく展開する葉も特徴的ですが、幹に刻まれた模様もなかなか不思議なものです。古い葉柄の落ちた痕なのですが、それがまるで野球ボールの縫い目のように見えるのです。この模様の並びには変異が多く、余り見られないものから、大きく密に並ぶものまで様々です。あるいは、途中から模様のパターンが変わっている株もあります。それらを観察すると、その株のこれまでの生育環境の変遷が読み取れることもあり、そういう意味からもなかなか興味深い模様です。

2004.11.26

 今回のビデオ撮影の対象は、沖縄の危険生物です。ハブを初めとする陸上の代表的な危険生物を扱います。沖縄の危険生物で、昆虫の代表と言うとこのコガタスズメバチでしょう。巣の入口では、まだワーカーたちが盛んに出入りを繰り返しています。
 恐らく温帯地域では、既にスズメバチたちの活動は終わっていると思いますが、亜熱帯沖縄では、もう少し元気な姿が見られます。間もなく、連日のように北風が吹き荒れるようになると、ワーカーの姿が消え、巣を離れた新女王バチだけが越冬します。暖かい日の陽溜まりで日光浴する姿や、朽ち木などの中に潜り込んでいる状態が観察されます。
 巣まで2m程の距離に近付いて撮影してみましたが、余り警戒を強める様子も見られませんでした。それでも、ストロボの光りは刺激する可能性があるので、ブレ防止レンズで自然光での撮影にとどめました。


コガタスズメバチの巣口
NikonD1X VR Nikkor80-400/4.5-5.6ED


食堂のメニュー
Ricoh Caplio GX
2004.11.25

 一昨日から1週間の予定でビデオ撮影の仕事をしています。東京からのスタッフといっしょに朝から晩までの撮影の中で、最大の楽しみは食事でしょう。昨夜は夜間撮影の合間に沖縄そば屋に入ったので、今日は典型的な沖縄の食堂を選びました。
 私の事務所から車で10分ちょっとのところにあるので、普段もときどき出掛けます。メニューが「ゴーヤちゃんぷる」などの沖縄料理であることは、もちろんですが、そのメニューの豊富さが最大の特徴です。注文した品が出て来るまで、そのメニューを数えてみると、91種類もありました。
 「そば(小)¥300」から「うなぎ定食¥880」までと、値段が安いのも魅力です。さらに、ひとつのメニューの付け合わせもサービス満点です。例えば、「そば定食」は、「沖縄そば」「ライス」「チキンカツとポテトサラダ」「さしみ」から構成されていて、ボリュームも十二分です。もちろん、食べることも楽しみですが、この膨大なメニューひとつひとつを眺めながら、その内容を想像するのも楽しみのひとつです。

2004.11.21

 宮崎県総合博物館で開催されている企画展「黒潮と南の島の生もの」の講演会に行ってきました。深い緑に囲まれた落ち着いた雰囲気の博物館の独立した建物の講演会場には、300名を越す方々にご来場頂きました。
 毎年のように、日本全国の博物館などの施設で、沖縄や琉球列島の企画展が開催されますが、黒潮によって琉球列島と宮崎の自然環境を結び付けた観点が、なかなか興味深く感じられました。このような企画を通して、他府県の催しに呼んで頂けるのは、とても嬉しく楽しいものです。夜の打上では、ついつい芋焼酎を呑み過ぎてしまいました・・・


宮崎県総合博物館での講演(黒木秀一さん撮影)
Ricoh Caplio GX


サトウキビの花穂
Ricoh Caplio R1
2004.11.19

 また少し南島漂流記をサボっている間に、秋が深まったようです。夕方にちょっと外に出たところ、サトウキビ畑では花穂が出始めていました。いくら半袖で頑張っていても、やはり季節は進んでいくんですねぇ・・・
 冬や秋は好きではありませんが、サトウキビの花穂の並ぶ光景は、毎年楽しみにしている被写体です。年々、サトウキビ栽培は下火になり、撮影意欲の湧く畑は激減してしまいましたが。
 これからの季節、忘年会、クリスマス、年賀状、大掃除と次第に慌ただしくなっていくのでしょうねぇ。
 愛用しているリコーのキャプリオシリーズで、GXの次に気になっていたR1をちょっと使ってみました。このカットは、GXにはない135mm望遠端での撮影です。やはり望遠側はこれくらいまであるといいですね。

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