南島漂流記
2004年6月前
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モモタマナの木
NikonD100 Sigma12-24/4.5-5.6
2004.6.15

 ここ数日、既に梅雨明けのような初夏の陽射しが降り注ぐ毎日です。既に、沖縄本島北部のダムの貯水率は80%台に回復しているものの、今夏の生物の活動を考えると、もう少し降ってもらってもよいかと思います。
 今年は、久しぶりの冬の冷え込みが幸いしたのか、昆虫の当り年のようです。滅多に見られない種類に何年ぶりかに会えるのは嬉しいのですが、中には余りありがたくない種類もいます。そのひとつが、ドクガの仲間たち。4、5月には、このモモタマナの木にも、たくさんのマイマイガの幼虫が見られ、丸坊主にされてしまうのではないかと心配していたのですが、青々と葉を広げた姿からは、そのような時期があったのが信じられない程です。
 今回、撮影に使用したのは、先日購入したシグマの12〜24mm超々広角ズームレンズ。画面上辺ギリギリに太陽を入れての撮影ですが、目立ったゴースト、フレアは認められません。同社の14mm超広角レンズが、ゴースト&フレア大サービスだったのに比べ、優れた性能に驚きました。

2004.6.14

 ここしばらく、姿を見ていなかったため、是非撮影したいと思っていたホソヘリカメムシをやっと見つけました。特に撮影したかったのが、幼虫の姿です。幼虫のときは全身が黒く、まるでアリのような姿をしているのです。その口の形だけは、針のようなカメムシのものですが、それ以外は本当にアリそのものといった姿形なのです。
 しかし、擬態において大きさという要素はかなり重要なポイントのようで、あまり大きくなり過ぎると、天敵にアリとは認めて貰えないようで、成長と共に、次第にアリらしくなくなっていきます。そして、やがて成虫になると、今度はハチに似た姿になるのです。とまっているときはそれ程でもありませんが、細長い体型で、透明の翅(はね)を開いて飛翔している姿は、一瞬ハチだと思い身構えてしまいます。
 アリとハチ。ご存知の方も多いと思いますが、どちらも同じハチ目、かつては膜翅目と呼ばれたグループに属していて、とても近縁なものどうしなのです。幼虫時代はアリ、成虫時代はハチに擬態する、なかなか一貫性があって面白いことだと思います。


ホソヘリカメムシの幼虫と成虫
Ricoh Caplio GX Speedlight


シーサー
NikonD100 Sigma12-24/4.5-5.6
2004.6.13

 ほぼ2週間ぶりに沖縄に戻ってきました。留守中に台風の上陸もあり、水不足もほぼ解消されたそうです。今日は青空も広がり、セミの声も聞こえてきます。そろそろ梅雨明けが近いのでしょう。
 さて、この半年程買うか否か迷いに迷っていたレンズを、ついに東京で買ってきました。シグマの12〜24mmです。広角系に弱いデジタルボディでも、18mm相当の超広角の画角が得られます。さらに、銀塩カメラのフルサイズにも対応していて、この場合は、正真正銘の12mmの超々広角の画角となります。一眼レフ用の12mmは、これが初の製品で、その画像は、ファインダーを覗いただけでも圧倒されます。
 さて、このような画期的なレンズならば、すぐに購入すればよいのですが、実は悩ましいライバルが存在するのです。それは、DXニッコールの12-24mm。但し、焦点距離はシグマと同じですが、こちはデジタル専用設計で銀塩フルサイズには対応していません。しかし、開放F値がF4固定、前面フィルター取り付け枠があり偏光フィルターの使用可能、軽量(485g/シグマ615g)などのシグマにないアドバンテージがあります。価格面では、シグマの実売7万円台に対し、ニッコールの12〜13万円台でかなりの開きがあります。この価格で購入して、何れデジタルカメラのCCDサイズがフルサイズの時代になったときに使えなくなるのでは、躊躇してしまいます。
 そして、半年近く悩んだ挙げ句、シグマの製品を選択したのです。まだ、ほんの数10カットだけの撮影ですが、やはり偏光(PL)フィルターが使えれば、空の青や植物の緑がより強調出来るのにと思ってしまいます。また、最短撮影距離が28cmと、このジャンルのレンズとしては頑張っているのですが、やはりせめて20cm、出来るのなら15cmにして貰いたいところです。あるいは、ズームレンズではなく、12mm単焦点レンズでもよいのではないでしょうか?
 カメラボディのほうも、D1Xのサブボディとしてはシステム構成が非効率的なD70に代わり、D100をサブボディに使ってみることにしました。

2004.6.9

 ベロタクシーを下りた後、ポツダム広場から少しだけ奥に入ったソニーセンタービル前の広場へやって来ました。中央の噴水の周りは、無線LANのスポットになっているのか、ノートパソコンを広げている人が目に付きます。このときは、近くの5人のうち2人がApple製品を使っていて、Macintoshユーザーとしては、ちょっと安心しました。
 広場の周囲は、いくつかの店がテーブルを並べ、飲み物や軽食を楽しめるようになっています。最近は体重のことも考え、ビールはなるべく少なめに、スピリット系を中心に心掛けているのですが、やはりドイツとなると、ビールを呑む機会が増えてしまいます。そう言えば、好みの黒ビールを呑んでなかったと思い、席に着き「ブラックビア!」と注文したところ、首をかしげ、しばらくして「ダークビア?」と訊かれたのでした。運ばれてきたダークビアは、酸味が強くハイネケンの黒版といった味でした。ビールの銘柄は、かなり多いようですが、ここの店では「ベルリン・ピルスナー」が一番人気のようでした。
 今のドイツで、最も旬の食べ物と言えば、ホワイトアスパラガス。親指よりももっと太い立派なものが、街のあちこちで売られています。それをただ皮を剥いて、塩茹でしただけで、何も付けずに食べるのです。これが、美味しいこと!!滞在していた姉の家でも1日おきに出てきましたが、毎日食べても決して飽きることのない味です。しかし、これは季節限定生産で来週にはすっかり姿を消してしまうとのこと。人気があれば、一年中生産しようとする日本とは偉い違いだと驚かされました。


ソニーセンタービル前広場で
Ricoh Caplio GX


ベルリン市内を走るベロタクシー車内から
Ricoh Caplio GX
2004.6.9

 ドイツ滞在最後の今日、ひとりでベルリン市内を観て来ました。ブランデンブルグ門から電車で一駅隣のポツダム広場まで、ベロタクシーと呼ばれる自転車タクシーに乗ってみました。最近、沖縄にも同じものが輸入されたので、本場での乗り心地を試してみたかったのです。
 幸い学生風の若いドライバーは、私の拙い英語もよく理解してくれて、束の間のドライブを楽しむことが出来ました。途中、路面を指差し、「これがベルリンの壁の跡」と説明してくれました。現在では何でもないこの街並を唐突に分断していた壁の跡を示す長い点線は、そう簡単には理解出来ない存在でした。
 恐らく2km程度の距離だったと思いますが、料金は4ユーロ、今日のレートで¥500ちょっと。これは沖縄とほぼ同じようです。料金までいっしょに輸入したのでしょうか?ドライバーに「日本から来たんだけど、沖縄は知ってる?」と訊いたら首を横に振っていました。「最近、輸入して同じ物が走っているんだよ」と言うと「京都でも使われているのは知ってるよ」と返ってきました。
 加速するときのギア音が意外に大きく感じられますが、乗り心地は決して悪くありません。尤も、これは平坦で街中心部でも自転車専用車線が設けられ、乾燥した気候のドイツでの話。亜熱帯、沖縄での乗り心地も近く味わってみようと思います。
※ネット検索したところ、02年5月時点で、初乗り1kmまで2.5ユーロ、以後1km毎に1ユーロとありました。また、地図で確認したところ、私が乗ったのは実際には700m程。その後値上がりしたのか、ふっかけられたのか?
沖縄では、初乗り500mまで¥250、以後100m毎¥50。

2004.6.8

 このところ、業務日誌が変則的ですが、実はドイツ・ベルリンに滞在しています。特に仕事でもなく、観光でもなく、両親とベルリンに住む姉一家を訪ねたプライベートな旅です。
 もちろん合間に観光もしますが、今日は「アンリ・カルチェ・ブレッソン写真展」を観に行ってきました。ブレッソンは、「決定的瞬間」などの写真展でも世界的に有名ですが、個人的には、私の敬愛するロバート・キャパらと共に写真家集団「マグナムフォトス」を設立したひとりとしてのイメージのほうが強いかもしれません。
 会場には、数々の見慣れた作品があり、改めてブレッソンの魅力を堪能することが出来ました。広い会場も、かなりの見学者で混み合っていましたが、日本のように事細かな順路表示もなく、最後まで観終わると同じコースを引き返して入口から出るという具合なのですが、ブレッソンの足跡を巧く感じることが出来、好感の持てる構成でした。先月の恵比須の東京都写真美術館でのキャパ展と比べると、とても対照的に思われました。
 ベルリン市内中心部のポツダム広場から会場の美術館までは、写真展の告知があちこちに掲示されています。その多くが、大きな工事現場を巡る壁のものなのですが、とても街と一体化していて、自然な感じなのです。これが東京の工事現場だったら、どのような印象になるでしょうか・・・


ベルリン市内のブレッソン写真展広告
Ricoh Caplio GX


キツツキの一種
NikonD1X Nikkor70-300/4-5.6ED X1.4Telecon
2004.6.7

 今日もこれまでに見慣れない種類の動物に出会いました。恐らく、アカゲラの仲間でしょう。
 ちょっと観察していると、水平な枝にとまったり、地上に下りて餌を食べたりしています。これは、山原(やんばる=沖縄本島北部)の固有種ノグチゲラにも共通した行動で、キツツキの仲間としては原始的な特徴だと聞いた覚えがあります。
 ちょうど巣立ち直後の若鳥なのでしょう、親鳥とはやや体色や模様が異なるようです。行動もやや子供っぽく、親に餌を貰うのを待っているような様子でした。

※ベルリン市内は、とても緑が豊かで、樹齢を感じさせる街路樹も多いのですが、昆虫の姿が驚く程少ないのです。一方で、野鳥の姿はよく見掛けますから、きっと何処かに潜んではいるのでしょうけど・・・

2004.6.4

 少し業務日誌をサボってしまいました。と言っても、撮影は続けています。このところ、どうもあまり昆虫の姿が多くありません。今日出会った昆虫のひとつがこのアブの仲間です。何という種類でしょうか?
 世界にはまだまだ種名の付いていない昆虫、生物はたくさんいます。「ということは、新種ですか?」という質問をよくされますが、決してそうではありません。その種類が属するグループ全体が、まだよく研究されず、系統だった分類が整理されていないと、ほとんど種名が付いていない状態なのです。存在は知られていても、名前のないままなのです。存在も知られていない生物が突然発見されて、直ちに新種とされるのは、とても稀な例なのです。

※これは、ベルリン市の隣、ポツダム市(旧東ドイツ)にあるサンスーシ宮殿の庭園での撮影。種名は・・・?
※※当初ハチとしていましたが、糸崎公朗さんから「アブでは?」というご指摘を頂きました。確かにそのようです・・・


アブの一種
Richo Caplio GX


オキナワキョウチクトウの花
Ricoh Caplio GX
2004.6.1

 朝方は晴れていた沖縄ですが、次第に雲が広がり、梅雨空に戻っていきました。さあ、これからの梅雨末期の降雨に期待したいところです。まだ、陽射しの残っていた中、オキナワキョウチクトウの花が眩しく見えました。
 沖縄には、在来種のオキナワキョウチクトウの他、栽培種のキョウチクトウも広範囲に植えられています。しかし、栽培種よりもこの在来種のほうが、何処か繊細なデザインで好みです。一見、緑と白だけなのに、近くで観察するとワンポインの赤色があしらってあったりするのが憎いですね。
 でも、栽培種のキョウチクトウが嫌いな訳ではありません。特に、迷彩色のスズメガ、キョウチクトウスズメが時折発生し、撮影ではとてもお世話になっています。今年の2月、1頭だけ死骸を見つけたのですが、その後の発生は確認していません。どうなっているのでしょう?

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