南島漂流記
2005年9月後
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2005.9.29

 日本トランスオーシャン航空(JTA)の機内誌「Coralway」が、現在ちょうど100号を迎えています。それを記念して巻頭に、過去100号分の表紙と撮影者などが紹介されています。
 その記事を眺めていたら、1987年7・8月の13号に私の写真が使われていたことを思い出しました。右の写真の右上に全体に黄緑色の表紙写真が載っているのが私の写真で、緑の葉の上にとまる緑色のクロイワゼミなのです。
 記憶が確かならば、この号は日本トランスオーシャン航空(当時、南西航空)の会社創立25周年に当たり、そのときの社長と檀ふみさんの対談が載っていたはずです。また、編集部からのエピソードに、他の表紙の候補が私と同い年のさる有名な写真家の作品だったというものもありました。
 不況の最中には、季刊にまで発行回数が減ってしまっていたのが、再び隔月刊に戻っているのも、嬉しい限りです。しばらく御無沙汰している仕事ですが、久しぶりにまた機会があればと思います。


JTA機内誌Coralway100号
Ricoh Caplio GX8


ホソヘリカメムシ
Ricoh Caplio GX8
2005.9.28

 好天続きの沖縄ですが、このところ意外に被写体探しに苦労しています。もう既に、夏枯れから脱しつつある印象があったのですが、どうしたことでしょう。昨日書いたように、光線状態はなかなか心躍らされるものがあるのですが、どうも満足感が得られません。
 そんな9月末の今日、見つけたのはこのホソヘリカメムシの幼虫(左)と成虫。幼虫時代はアリに、成虫になるとハチに擬態していると考えられています。擬態という現象は不思議な世界で、ここまで精巧に似ているのか?と驚く反面、こんなのでも擬態の効果があるのかと疑問に感じるようなラフなものもあります。しかし、意外に厳密なのが大きさです。アリに擬態している昆虫やクモは多いのですが、ある程度の大きさになると、急にアリらしくなくなるものが少なくありません。やはり、セミの大きさほど程あるアリがいても、天敵はアリとは認識してくれないでしょうから、当然と言えば当然です。
 成虫のほうは、それ程ハチらしくないように感じるかもしれませんが、翅(はね)を広げて飛ぶときは、腹部の黒と黄色の縞模様が見えて、かなりハチっぽいのです。アリとハチは、分類の上では同じ「目」の昆虫です。幼虫時代と成虫時代に、同じ目の異なった昆虫に擬態するとは、かなり凝っていますね。

2005.9.27

 このところ、光線がフォトジェニックになってきました。ちょっとおかしな表現かもしれませんが、何でもない景色がとても絵になる感じなのです。真夏よりも陽射しが和らぎ、太陽の位置もトップではなくなり、常に斜めから射しているのが、主な理由なのだと思います。
 そんな光線の中、茂みの中にキラキラ輝く銀色の塊が目に付きました。近づいてみると、綿毛をたくさん着けたリュウキュウボタンヅルの種です。逆光気味の斜光に照らされ、ときどき吹く風に揺らいで、なかなか魅力的な被写体ぶりです。
 夏であれば、早起きしないと手に入らないような贅沢なライティングが、真っ昼間にも利用出来るなんてちょっと得した気分ですね。有り触れた料理が高級料理のように引き立つ、魔法のスパイスみたいな秋の光線です。


リュウキュウボタンヅルの種
Ricoh Caplio GX8 Wide-conversionLens


夕陽
Ricoh Caplio GX8
2005.9.26

 昨日は、デジカメのデータのトラブルの話をしました。しかし、幸いなことに、そのデータの復旧の可能性が出て来ました。また、カメラの故障でもなく、実害はあまりありませんでした。
 ところが、深夜になって今度は本当に深刻なトラブルに気付いたのです。というのも、パソコンのデータ保存は、外付けのハードディスクがメインで、特にサイズの大きな画像データは、カートリッジ式で、いくつものハードディスクが入れ替えられるタイプを使っています。そのひとつのハードディスクの中に、過去6年間くらいの写真展用の大型プリントデータなど100点以上を保存してあったのを初期化してしまったのです。ビデオ編集用のハードディスクは、編集が終わる度に初期化するのですが、そのビデオ用と間違えてしまったのです。
 まぁ、オリジナルデータが消えてしまったわけではありませんが、スキャニングやレタッチなど数百時間の作業の蓄積が消失してしまったのです。これを教訓に、今後のデータ保存には万全を期せということなのでしょう。しかし、昨日のトラブルに比べてこの損失は大きすぎて、昨日と同じ夕方の空を見ても、何処か空虚に感じられました。

2005.9.25

 ここ数日、南島漂流記の更新が滞ってしまいました。その理由のひとつに、ここ数日間に撮影したデジカメの画像データが壊れていて、開くことが出来ないのです。メモリカードを初期化したところ、トラブルは解決しましたが、壊れてしまったデータは復旧出来ません。
 今日の昼間見つけて撮影した昆虫の画像はちょっと楽しみだったのですが、残念ながらどの程度の出来だったのか確認出来ませんでした。そのことを確認し、夕方ちょっとガックリしながら玄関のドアを開けると、そこには穏やかな夕焼け空が広がっていました。この景色にレンズを向けシャッターを切っているうちに、少しずつ心が落ち着き、まぁ仕方の無いことかと思えてくるのでした。


夕焼け
Ricoh Caplio GX8


講演会
Ricoh Caplio GX8 Wide-conversionLens
2005.9.22

 今晩は、沖縄本島南部の南風原町でのおきなわ県民カレッジ主催講座の講師を努めました。事前申し込みをされた80名程の方に、「山原の自然」をテーマに100枚の写真をご覧頂きました。
 これまで、写真を使った講演はカラースライドを使用してきたのですが、今回からパソコンを使った方法に切り替えました。細かいことを言うと、やはりパソコンのデジタルデータよりもカラースライドのほうが、画質は優れているのですが、パソコンのほうが便利なこともいろいろ感じられました。例えば、会場の照明を完全に落とさなくても、画像を表示出来ますし、任意のコマに即座に戻ることも、動画を差し挟んで表示することも可能です。
 しかし何と言っても、最近は「プロジェクターを準備してください」というと、スライド用ではなくパソコン用ととられることが多くなり、会場によっては準備が難しいと回答されることも出てきたのが、パソコン使用の大きな理由なのです。

205.9.21

 いよいよ今回の西表島も、今日が最終日。今朝、南方海上で発生した台風18号の影響で、急に雨が落ちてきたりと、ついに天候が崩れてきました。今回は、ほんの1週間の撮影期間でしたが、毎日天候に恵まれ、ほとんど雨に遭うこともありませんでした。
 今回の取材期間で、印象に残っているのが、このコウトウシランの花。ちょうど巧い具合に咲いていたこともありますが、最近目にする機会が少なくなりました。かつては、ナリヤランなどともにしばしば目にする花だったのですが。
 減少した原因はやはり採集によるものでしょう。動物の場合は、採集によって絶滅することはないとも言われますが、移動することの出来ない植物の場合は、採集による影響は大きいようです。


コウトウシラン
NikonD2X Tamron90/2.8


タイワンクロボシシジミ交尾
Ricoh Caplio GX8
2005.9.20

 このところ、場所によってタイワンクロボシシジミがまとまって見られます。茂みに足を踏み入れると、一斉に10頭前後も舞い上がることがあります。そんな中に近づいても逃げずいる個体がいるので、よく見ると交尾しているペアでした。
 10頭近くがバラバラにいると、雄と雌の違いはあまり気付かないのですが、こうして並んでいると、大きさや色にこれだけの違いがあることに驚きます。それにしても、脚のまだら模様は何処となく蚊を連想してしまいます。

2005.9.20

 昨日のツチイナゴも、なかなか愛嬌のある顔をしていましたが、今日は抜け殻です。抜け殻とは言え、結構表情が感じられ、これもまたユーモラスな存在です。残念ながら、昨日の幼虫とは離れた場所での撮影なので、同じ個体ということはありません。
 今の時期、幼虫が目に付くということは、近いうちにたくさんの成虫が出現するのでしょうか。そうなると、また虫の眼レンズに格好のモデルになってくれそうな気がします。


ツチイナゴ脱皮殻
Ricoh Caplio GX8


ツチイナゴ幼虫
Ricoh Caplio GX8
2005.9.19

 連日の奇麗な青空を見ると、虫の眼レンズで決めたいと思うのですが、なかなか格好の被写体に出遭うことが出来ません。あまり動き回らずに、あまり小さくない昆虫が理想的なのですが、背景との兼ね合いもあり、そうそう巧くいきません。
 今日、いちばん虫の眼レンズ向きの被写体だったのが、このツチイナゴの幼虫です。正面から見ると、結構愛嬌のある表情をしています。その虫の眼レンズはビデオに装着していたので、スチル写真は通常のレンズで撮影したのですが、背景までピント合っている写真に見慣れた眼には、広角レンズで絞りを開けて、背景のボケている映像が却って新鮮に感じられます。 

2005.9.19

 先週から西表島に滞在しています。今回は短い日程のため、もう戻らなければならないのですが、連日の好天でいろいろな昆虫に出遭うことが出来ました。
 季節柄、いちばん目につく、いえ耳につくのはセミのなかまです。日中最も騒々しいのが、このイワサキゼミ。ツクツクボウシのなかまなのですが、かなりのダミ声です。沖縄本島などに生息するクロイワツクツクに近い鳴き声です。
 沖縄に生息するツクツクボウシのなかまは、どれもかなり遅い時期まで鳴いているのも特徴です。沖縄本島では11月下旬まで、八重山諸島では12月末まで、鳴き声が聞かれます。


イワサキゼミ
Ricoh Caplio GX8


オオゴマダラ
Ricoh Caplio GX8
2005.9.18

 日本最大のチョウ、オオゴマダラはいつ見ても、そのゆったりとした飛び方から、実に優雅に感じられます。南の島の時間の流れにとても似合っているような気もします。
 この写真のオオゴマダラは、八重山産です。沖縄本島のものよりも、黒い部分が少なく、全体に白っぽく見えます。このように、南の地域程、白っぽい体色になる例は他にもあります。モリバッタは、奄美大島から与那国島にかけて5亜種に分けられていますが、やはり南西に行く程、体色は白っぽくなる傾向があります。また、クマゼミも本州から宮古島にかけてのものは、体全体が黒色ですが、石垣島、西表島では、腹部の上側3分の1くらいが白くなります。さらに与那国島では腹部のほとんどが白くなります。ナガサキアゲハの雌も、本州では黒いチョウですが、奄美大島や沖縄本島では、白い部分のほうが多く見えます。さらに、八重山諸島では、滅多に見つからないのですが、その姿はほとんどオオゴマダラのような白いチョウに見えるそうです。やはり、このような現象は、強い陽射しに対して適応した結果なのでしょう。

2005.9.17

 この5日程、本当によい天気が続いています。真っ青な空に白い入道雲、これぞ夏の空!という感じです。今月の13日にも書いたように、こんな夏空を背景に夏の昆虫を撮影したら、主役の虫も喜んでくれるだろうな?という撮影をしてみました。
 炎天下のアカメガシワの葉裏で、孵化した幼虫を保護するアカギカメムシの親です。主役と夏空の両方を引き立てるために、虫の眼レンズで撮影してみました。
 明日は十五夜ですね。明日の晩も変わらぬ快晴ですように!


幼虫を保護するアカギカメムシ
NikonD2X Insecteye-Lens Speedlight


サカキカズラ実
Ricoh Caplio GX8
2005.9.16

 今日の夕方、森の中でこのような不思議な形の実に出遭いました。片方だけで長さ7〜8cmもあります。
 調べてみると、これはサカキカズラの実であることが判りました。サカキカズラと言えば、今年の春、森の中でケセランパサランのような綿毛をたくさん目撃し、その正体がこのサカキカズラだったのです。やがて、この実も爆ぜて、あの綿毛を撒き散らすのでしょう。と言うことは、少なくとも年に2回結実するのですね。

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