南島漂流記
2004年5月後
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2004.5.31

 4月1日と3にここで紹介したインドキワタの花が実を結び、風に舞っています。初めは、まるで真空圧縮したような黄色味を帯びた状態ですが、やがてほぐれて、中央の黒い種子の周りに白い羽毛を広げた状態になって飛んでいきます。
 ちょうどこの綿が飛び散るのは、沖縄だと梅雨の真只中に当ります。折角の綿毛が雨に濡れてしまっては無惨ですし、なるべく遠くまで飛散して分布を拡げようという目的も叶いません。原産国では、種子が飛散するのはどのような気候の季節に当るのでしょうか?
 しかし、ここ数日の沖縄はそのような心配は無用の好天です。長期的な水不足に見舞われている沖縄ですは、ダムの貯水率が辛うじて50%を上回っている状況です。このままで、梅雨末期の大雨も期待出来ないとしたら、今夏は久しぶりの給水制限を覚悟しないといけないかもしれません。


インドキワタの実
Ricoh Caplio GX


ヨツメオサゾウムシ
Ricoh Caplio GX
2004.5.30

 ゲットウの葉の表面に、幾筋もの褐色の帯が走っています。風で擦れて出来た痕かと思ったら、その中央にヨツメオサゾウムシがいました。これが犯人のようです。翅(はね)の四隅に黒い斑紋があり、これが和名の由来「四つ目」です。紅色系と黒色の体色は、緑の葉の上にいると補色関係のために、かなり目立つのですが、この褐色の帯の間にいると、そうでもありません。葉の表面を摂食するのは、栄養摂取のためだけではなく、カムフラージュの効果も狙っているのでしょうか?
 今日も新型デジカメによる撮影ですが、ひとつ嬉しい発見がありました。撮影した画像をパソコンへ取込み作業をする際、そのソフトが貧弱だと一昨日書きました。特にMacintoshでは、自動画像取込みは出来ても、その後、その画像を閲覧するソフトが対応していないのです。ピントや露出、構図などを確認し、取捨選択する作業は、一コマ一コマ画像ソフトで開いて確認しなければなりませんでした。
 ところが、試しに、これまで使用していたNikonの画像閲覧ソフトで開いてみたところ、全く同じように使えることが判りました。これで、かなり撮影後の作業が楽になりました。でも、出来れば、メーカー純正のソフトで対応して欲しいものです。

2004.5.29

 ここでも何度か触れましたが、今年はいろいろな昆虫が、久しぶりの大発生のようです。身近な昆虫では、ドクガの仲間が、かなり多く見られます。例えば、タイワンキドクガ、数種のマイマイガ、そしてこのスキバドクガなどです。
 スキバドクガは、雌雄でかなり姿が異なります。雌は、クリーム色の幅広の翅(はね)をしていますが、雄は細長い透明の翅です。この雄の翅が和名の由来の「透羽」を表しています。
 雄は日中活動しますから、恐らくハチに擬態しているのでしょう。これは、よく知られているオオスカシバと同様です。そして、オオスカシバは透明な翅に羽化直後だけは鱗粉が付着しているのですが、これもスキバドクガと共通しています。この羽化直後だけの鱗粉は、活動を始めると、すぐに落ちてしまい、透明な翅になります。
 今日も新しく使い始めたコンパクトデジカメでの撮影です。次第に慣れて来ましたが、やはり小さな液晶モニターでの厳密なピント合わせには苦労します。亜熱帯の炎天下で遮光フードなしでは、かなり画像確認が辛いのと、あとは、やはり、撮影者の眼の衰えが原因でしょうか・・・


羽化直後のスキバドクガの雄
Ricoh Caplio GX


ニンジンの実から吸汁するアカスジカメムシ
Ricoh Caplio GX
2004.5.28

 新しいデジカメを衝動買いしてしまいました。と言っても、コンパクトタイプなのですが・・・これがなかなか侮れない機能満載の機種なのです。
 まず、スイッチを入れてから撮影出来るまでの時間が1.2秒、シャッターボタンを押してから切れるまでのタイムラグが0.12秒、広角28mm相当からの3倍ズームレンズは、レンズ先端から1cmの接写が可能などです。
 これらの機能は、これまでコンパクトタイプ(一眼レフでない)のデジカメで昆虫を接写しようとするときの欠点をかなり補ったものと言えます。さらに接写時は、焦点を合わす指標が画面内で自由に移動可能なのです。望遠側ではレンズ先端15cmまでストロボ使用可能で、しかも自然な感じのライティングになります。
 これらの数々の機能に期待を膨らませて、テスト撮影をしてみました。さすが、これまでのコンパクトデジカメでの昆虫接写のときのイライラは、かなり解消されています。まず、接写でも比較的スムースにピントが合い、シャッターがすぐに切れるのもストレスを軽減してくれます。
 しかし、やはり一眼レフと比べると、厳密なピント合わせは無理と言うものです。シャッターボタンが深いため、それに因るブレも心配です。欲を言えば、望遠側が85mmではなく105mmまであればなぁと思います。あとパソコンへの取り込みソフトのMacintoshへの対応状況が寂しい状況です。尤も、205gの軽量コンパクトボディ、実売4万円台の機種にこれ以上の贅沢を言っては、罰が当りますね?

2004.5.26

 山原(やんばる=沖縄本島北部)の下草で最もよく目にするキリギリスの仲間と言えば、このヘリグロツユムシでしょう。まだまだ寒い早春から、本当に小さな幼虫が目に付き始めます。やがて、全身をベルベットに覆われたような質感に成長していきます。この頃は、胴体に比べて複眼が大きく、結構愛嬌のあるキャラクターに映ります。
 実は、必ずと言ってよい程、周囲にはまとまった数の幼虫がいるのですが、全身保護色の効果で意外と気付きません。ところが、1匹見つけると、次から次へと見つかるのが不思議です。
 その幼虫たちも、そろそろ成虫になる季節が近付づき、翅や産卵管などが見えるようになって来ました。成虫になっても、かなりの数がまとまっているのが見られます。しかし、これは成虫のサイズが大きいので、ある程度の数でボリュームを感じることもあり、実際の数は幼虫のときに比べると、かなり減っているのでしょう。あの愛嬌のある小さな幼虫たちが、どのようなアクシデントに遭遇し姿を消していったのでしょうか?


ヘリグロツユムシ幼虫
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight


ヒラヤマメナガゾウムシ
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight
2004.5.25

 5月2日の「南島漂流記」でも紹介しましたが、今年は何年ぶりかの発生の年のようです。このところ、夜の電灯の回りを探すと、このヒラヤマメナガゾウムシの姿を見かけることが多くなりました。大発生となるか否かは、しばらく様子を見ないと分りません。
 ところで、5月2日にも触れていますが、このゾウムシは羽化直後はとても奇麗なピンク色をしているのですが、これは体の表面に付いている粉による色彩・模様なので、次第に擦れて脱落してしまいます。すると、地色の黒色が目立つようになってきます。この写真のゾウムシは、背面側がかなり黒っぽくなっていますが、まだ他の部分にはピンク色が残っています。
 しかし、さらに時間が経過すると、ほとんど全身が黒い姿になってしまいます。これが、図鑑検索泣かせなんですね・・・

2004.5.23

 梅雨に打たれた森の緑が目に染みる季節です。3月の新緑の森のグラデーションも、何とも言えない眼の喜びを感じさせてくれますが、今のしっとりした森の中では、シダの仲間とコケの仲間が心地よい存在です。
 元々、私の視覚は細かい輪郭構造が無数に集合した物体に惹かれる傾向があるようなのです。それがシダであり、コケであることが多いようです。
 しかし、この嗜好で失敗したこともあります。室内撮影のバックに、タイワンモミジという、やはりギザギザの輪郭の細かい葉の鉢植えを使ったことがあります。もちろん、心地よい背景のボケを期待したのですが、これが逆の結果なのです。煩雑な不協和音とでも表現しましょうか、余程ボケ味の奇麗なレンズでない限りバックには向いてないようです。
 ところで、この写真はあるダム湖の斜面で、いつも今頃の季節、美しい葉だけに覆われた空間に見とれてしまいます。何と言う種類のシダでしょうか?斜めから見ると分り難いですが、正面から見ると、どれも左右一対の葉から構成されていますので、ウラジロの可能性が高そうです。沖縄では正月のお飾りに使う習慣もないので、ちょっと意外な存在に感じられました。


ウラジロ?群落
NikonD1X Sigma18-50/3.5-5.6 PL-Filter


ウスイロコノマチョウ夏型
NikonD1X Sigma105/2.8Macro X1.4Telecon Speedlight
2004.5.22

 ウスイロコノマチョウの翅(はね)の模様には「秋型」と「夏型」の2種類があります。夏型はこの写真のように翅の色が薄く、偽の目玉模様が目立ちます。一方の秋型は、翅の色が濃く、目玉模様は余り目立ちません。恐らくは、秋型は落葉の多い季節の林床で静止していると目立ち難いのでしょう。この夏型は、頻繁に樹液に吸汁に訪れる季節、偽の目玉模様の恩恵で、捕食者からの致命傷を回避しているのでしょう。
 今日は、1日でウスイロコノマチョウの夏型と秋型の両方を目撃しました。恐らく、ちょうど衣替えのときなのでしょう。人間社会の衣替えは、沖縄では1カ月ずつずれていて、5月と11月です。沖縄に生息するウスイロコノマチョウの夏服への衣替えは、ほぼ人間社会と同じタイミングのようです。

2004.5.21

 16日にミツギリゾウムシを紹介した晩に、ルリモンホソバも撮影したことに触れましたました。しかし、その結果はイマイチだったので、ここには登場させませんでした。構図もさることながら、和名の一部でもあるルリ色が、全く出ていなかったのです。このような金属光沢を伴う色ではよくあることですが、ストロボを使うとほとんど黒っぽい色になってしまうのです。
 運良く今晩もルリモンホソバに出会えたので、今回はバックからももう1灯ストロボを焚いたり、ライトボックスというやや大振りのアクセサリーを組み立てて柔らかい光線で撮影を試みた結果、何とかルリ色を再現することが出来ました。
 ルリモンホソバは、年に一度遭遇出来るか否か程の結構珍しい種類です。それが、今週は2度も目にする幸運に恵まれました。しかし、考えてみると、今年はここ数年お目にかかってなかった昆虫に出会えたり、本来数の少ない種類がさくさん発生していたりという例が多いように思います。理由はなんでしょうか?ひとつだけ思い当るのが、今年の冬は何年ぶりかの冷え込みが訪れたことです。やはり亜熱帯の昆虫とはいえ、冬は暖かいだけでなく寒さというメリハリが必要なのかもしれません。


ルリモンホソバ
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight


コンロンカの花
NikonD1X Sigma18-50/3.5-5.6
2004.5.19

 沖縄は、台風2号の影響もあって雨が降ったりやんだりの天気です。梅雨入りしてほぼ2週間ですが、まだまとまった降水量に恵まれていません。結局、いつも水不足解消は台風頼みになってしまうのが実状です。それでなくても沖縄では、台風の襲来による会社や学校の休みを楽しみにする傾向がありますから、台風もプレッシャーを感じてるかもしれません。「風は控え目に、雨はたっぷり」と。しかし、今回の台風はプレッシャーに負けそうな予感ですね・・・
 梅雨の季節を代表する花というと、5日に紹介したゲットウの他、イジュ、ノボタン、アオノクマタケランなどがありますが、このコンロンカも個人的な好みではかなり上位に入る植物です。遠くからは白い蕚(がく)が目立ちますが、近くに寄って観ると、星形をした黄色の花が印象的です。黄金の星と言ったほうが夢があるでしょうか?さらに「コンロンカ」という和名も何処か魅力を感じます。この一見地味な花が雨に濡れる姿は、梅雨も味わいのある季節のひとつだと感じさせてくれます。

2004.5.18

 いつもちょっと気になっていたサシガメの仲間です。赤と黒の体色は鮮やかで、緑の葉の上にいるとより目を引きます。なかなかスマートな姿は、魅力的な被写体です。しかし、どうもこれまでにこれといったカットが撮影出来たためしがありません。相性が悪いのでしょうか?魅力的な被写体なのに思うような結果が得られない、そしてまた出会うと、「今回こそは!」と冷静さを欠いて、よい結果に結び付かないのでしょう。全くの悪循環です。
 さらに不思議なのは、サシガメなのにこれまで捕食シーンに出会ったことがないのです。沖縄本島に生息するサシガメの中では最も数が多いのに、何故なのでしょう。
 それが今日初めて捕食の現場に遭遇することが出来ました。但し、それはダムのトイレのドアの上でのことです。獲物は小さな蚊ですから、これが下草の上であったら、果たして気付いたでしょうか?それにしても、初めての捕食シーンがこのような状況とは・・・次は是非、緑の葉の上で出会いたいものです。


捕食するキベリヒゲナガサシガメ
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight


ヤンバルクイナの親子
SONY DSR-570WS Canon YJ19X9B IRS(×2エクステンダー使用)

2004.5.17 

山原(やんばる=沖縄本島北部)の森は梅雨の真只中ですが、その中で野鳥たちは、子育に忙しい季節です。ノグチゲラの子育を撮影しようと思い、夜明けとともに営巣木に行ってみたのですが、ウィークデイにもかかわらず、既に先客がいました。別の被写体を求めて、早朝の林道を走っていると、前方の茂みの脇にヤンバルクイナの姿が見えます。
 そっと車を停め、離れた場所から様子を伺っていると、その茂みから雛も姿を現し、林道沿いを行ったり来たりしています。番いと雛4羽の一家が頻繁に林道の両脇の茂みを往復しています。これまでにも、この季節に度々、山原を訪れているのに、このような光景に出会ったのは初めてです。余程、運がよかったのだと思っていたら、その後立続けに2度も同じような光景に出会いました。
 最後に出会った家族は、雛が最も若く、嘴も脚もまだ赤くありません。運良く親鳥と連れ立って歩く光景を収めることが出来ました。正に「早起きは三文の徳」の通りの出来事でしたが、次回はもっと早起きをして、土の上を歩く親子3、4羽の姿を欲張ってみたいと思います。

2004.5.16

 1週間ぶりの夜の山原(やんばる=沖縄本島北部)です。月は暗く、蒸し暑いので、いかにも電灯に昆虫の集まりそうな条件です。しかし、やや風が強いのが不利な要素でしょうか?
 実際に、電灯の回りを探してみると、集まっている昆虫の数自体は少ないのですが、なかなか珍しい昆虫たちが待っていてくれました。蛾のルリモンホソバと、クロヘリオオヒゲナガゾウムシの雄、そしてこのミツギリゾウムシ、どれも久しぶりに会った顔ばかりです。ルリモンホソバはじっと葉裏にとまってくれているのですが、どのアングルから撮っても、どうも絵になりません。クロヘリオオヒゲナガゾウムシは、ビデオを撮影しているときに飛び去ってしまいました。
 結局、ここに登場したのはミツギリゾウムシというわけです。口吻が穴開け用の三錐に似ていることによる命名ですが、何処かとぼけた風貌がユーモラスです。国内での分布は沖縄本島が南端ですが、決して数の多い昆虫ではありません。本州まで生息しているようですが、本州での生息数はどのようなものなのでしょうか。


ミツギリゾウムシ
NikonD1X Sigma105/2.8Macro Speedlight

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